誰もがいつでも必要かつ十分な介護が受けられることや、安全で安心して利用できる質の高い介護が切実に求められています。
 介護サービスの現揚では、利用者本人の意思や要望の表明が困難な場合も多く、すれ違いが発生しやすい状況にあります。
 社会保障には本来なじまない営利企業の介護への参入もかなりすすんできています。
 この「医療生協の介護」は、このような状況の中で、全国の医療生協が介護の運動と事業をすすめるうえでの基本的な指針とします。


  • 元気な高齢期をめざし、介護予防、認知症予防など、健康づくりをすすめます。
  • 老いても障害があっても自分らしい生き方ができるように自らの生活設計を考えます。
  • なじみの関わりを大事にした支え合いを広げ、地域の介護カを高めます。

  • 必要な情報の提供と納得のできる説明を受け、自己決定とプライバシーを尊重する介護を受けることができます。
  • 自分らしさが大切にされ、生活を継続する介護を受けることができます。
  • 介護を通してともに成長し、苦楽を共感しあう介護をすすめます。

  • 利用者参加の評価活動など、内部・外部評価を取り入れ、介護の質の向上をすすめます。
  • 介護への意見や苦情を大切にし、組合員・利用者とともに地域に開かれた運営をします。

  • いつでも必要かつ十分な介護を受ける権利を守り発展させる運動を協同してすすめます。


 医療生協の目的は、人々の命と健康を守り、より人間的で豊かなくらしを実現することです。創立以来、参加と協同を大切にして、組合員・患者・利用者・職員がお互いに力をあわせ事業と運動を広げてきました。
 「医療生協の基本理念」「患者の権利章典」「医療生協」の3つの社会的な役割は私たちの日々の活動の重要な指針になっています。こうした医療生協の保健・医療・福祉におけるこれまでの到達を介護の分野においても継承し、発展させます。


 介護を必要とする人にとっては、医療と介護の連携が不可欠です。また、自治体や諸団体との連携や、「たすけあい活動」「ボランティア」など、地域の介護力の広がりが必要です。「介護の中にくらしがあるのではなく、くらしの中に介護がある」ことを医療生協の「明るいまちづくり運動」につなげます。


 介護サービスを必要とする人々は、さまざまな事情から自己決定しにくい立場にあります。私たちは、プライバシーを侵害されたり人権の尊重が軽視されたりすることがないよう、社会保障制度の充実を求めるとともに、協同の力を発揮した支え合いを実現します。介護を必要とする人々が、希望を持って生きられるよう、自ら考え決定できるよう援助します。


 介護サービスには、利用者の文化的価値観も含めた人生への共感と支援が求められます。介護に関わる職種も多くなりますが、それぞれの独自性を生かし、利用者を中心にした参加と協同のチーム介護を提供します。
 情報の共有と組合員参加の評価活動をすすめ、専門性の高い介護を実現します。


 高齢者の培われた智恵が、社会に生かされ尊重されるまちづくり運動をすすめます。
 憲法にもとづく人権尊重を基本に、認知症や介護予防など介護に関する国や自治体の責任を明らかにする学習と運動を広げます。

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