脳血管障害や骨折の手術などのため急性期で治療を受けて、病状が安定し始めた発症から1~2ヶ月後の状態を回復期といいます。
回復期リハビリテーション病棟はこの回復期といわれる時期に医師・看護師・リハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)・管理栄養士・薬剤師・社会福祉士・介護福祉士などの専門職種がチームを組んで集中的なリハビリテーションを実施し、心身ともに回復した状態で自宅や社会へ戻っていただくことを目的とした病棟を言います。
患者様に対し、チームの各担当スタッフが入院後すぐ寝たきりにならないよう、起きる、食べる、歩く、トイレへ行く、着替える、お風呂に入るなど(これらを「日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)」といいます)への積極的な働きかけで改善を図り、社会復帰を支援していきます。回復期リハビリテーション病棟ではチームによる様々なカンファレンスやレクリエーション、退院前・後訪問を行っております。</p >
5階・8階それぞれにリハビリ室を完備しています。離床して間もない方や体力に不安のある方、人の集まりが苦手な方でもお部屋からすぐの場所でリハビリを実施することが出来ます。
「ご飯を食べる」「トイレに行く」など、生活する上で必要な動作を日常生活動作といいます。これらに対して、必要な能力を向上させる訓練や環境調整、介助方法の検討を行います。自宅退院の方は、家事動作(調理、掃除、洗濯など)も実際の物品を使用して訓練します。
当院では、生活リズムを整えるため、病棟全体で朝・夕の私服への着替えをすすめています。必要に応じて動作指導を行っています。
また、入浴のリハビリ「訓練浴」も実施しており、リハスタッフや介護スタッフが実際の入浴場面で介入し、自宅や施設でも安全に入浴できるよう指導しています。
退院先での入浴動作を想定した動作の評価や訓練にも力を入れています。
リハビリ担当者が主体となり、病棟と協力して適切な動作方法・介助方法の統一や指導を行っています。
患者様一人一人の身体機能に応じて自助具や手すりの設置などの提案も行っています。
また、自宅退院後でも安全に入浴を行うために、退院前訪問や本人・ご家族様からの情報を基に実際の入浴環境を確認することで、より具体的な訓練場面の提供にも繋がっています。
患者様の状態に合わせて機械浴、一般浴、見守り・自立浴の3つに分けて行っています。
自宅退院後に自宅で入浴する場合、ご家族様がどの場面でどのように介助する必要があるのか、情報共有を図ることで退院後の入浴も安全に行うことが出来ます。
よって、当院では必要に応じて訓練浴場面にご家族様も同席して頂き、実際の場面での指導も行っています。
ご本人・ご家族様ともに負担軽減に繋がり、口頭や紙面での説明よりも確実な情報共有となります。
生活動作訓練に加え、調理や洗濯、掃除など自宅での役割に応じた応用動作訓練も積極的に行っています。一般的な台所や洗濯機、掃除機などの設備を設けており、より実用的な動作練習を行う事が出来ます。身体が不自由な方であっても実践しやすいように、自助具の選定や動作方法の提案を行います。
ベッド上や車椅子上でも快適に過ごせるようにポジショニング用品を数多く取り揃えています。患者様の身体機能に応じてセラピストが適切なものを提案・提供していきます。
飲み込み力の低下(摂食・嚥下障害)がある方を対象に、飲み込みの検査(嚥下機能検査)も行っています。当院では嚥下内視鏡検査(VE)、嚥下造影検査(VF)の2種類があります。
回復期リハビリテーション病棟では専門職種が定期的に様々なカンファレンスを開いて情報共有を行い、一人ひとり患者様に合った支援内容や訓練プログラムを作成し実施しております。カンファレンスには患者様本人やご家族の方も参加可能なものもあり、スタッフと共に情報共有し、退院に向けた課題を話し合っております。
筋力やADLの向上が見込める方を対象に、筋力アップに必要なタンパク質を豊富に含んだ補助栄養剤の提供を行っています。
退院を控えた患者様やそのご家族様に対して、退院後の生活についてリハビリの観点から指導を行います。
自宅で継続できる運動や日常生活動作における動作方法、介助のポイントなど、実技指導やパンフレットの提供を行っています。
脳血管疾患・運動器疾患・廃用症候群といった疾患の違いや、患者様一人一人の症状やリハビリ内容、介助のポイントは異なりますので、担当のリハビリスタッフが個人に合わせた実技指導やパンフレット作成を行っています。